プロジェクトストーリー【建築】駒ヶ根市 nico 歯科 駒ケ根

【建築】駒ヶ根市 nico歯科 駒ヶ根

通う人がワクワクし、
働く人が生き生きする
そんなオンリーワンの
歯科医院をつくる。

白い壁のシャープな建物には大きな窓がいくつもデザインされており、青い空に映えます。駒ヶ根市の伊南バイパス沿いに2021年8月、「関わるすべての人を笑顔にしたい」というクライアントの夢をカタチにした『nico歯科 駒ヶ根』が誕生しました。このプロジェクトに参加した建築部の4名は、さまざまな壁にぶつかりながらもチーム力で乗り越え、竣工にたどり着きました。工事はどのように進んだのか、その建設秘話とそれぞれの仕事のやりがいを聞きました。

  • 吉村 建築事業部 副部長/1996年入社

    大学では工学部建築学科を専攻、新卒で入社。入社後は鉄筋コンクリートのマンションやホテルの建設に従事、その後、木造の個人住宅を担当。今回は責任者としての重圧を背負いながら、すべてにおいて冷静な判断と責任感でチームをまとめた。趣味は読書。

  • 吉沢 建築事業部 工事長/2000年入社

    仁愛病院(伊那市)の建設、昭和伊南総合病院の改修など、公共施設建設を多数経験。それらの経験から、工期が厳しかった今回の物件でも、持ち前の前向きな性格を発揮し「やるしかない!」とチームを奮い立たせた。趣味はアウトドア。

  • 吉田 建築事業部/2018年入社

    専門学校の建築学科を卒業。今回は、現場での施工管理の補佐の役割を担う。1,100平米の大きさの建物の建設に携わるのは初めて。施工状況および出来形の写真撮影、納入品の検査などを行う。主に外壁と屋根の施工管理を担当。趣味は温泉巡り。

  • 両角 建築事業部/2020年入社

    異業種からの中途採用で入社。nico歯科 駒ヶ根は、入社2年目、2番目の物件としてメンバーの一員に加わる。施工管理の補佐を担当。施工状況および出来形の写真撮影、納入品の検査などに携わる。現場作業として墨出しなども行う。内装全般の施工管理を担当。趣味は料理。

夢を叶えるための空間を
チーム力で創り上げる

それぞれどんな役割を担当したのでしょうか?
工事全般の責任者を務めました。会社から話があったのは、2020年7月頃です。仕事内容は、全体の工程管理から予算や品質、安全についても統括管理をし、お施主さんと営業担当、設計担当との協議や連絡、調整も行っていました。
主任技術者として施工図の作成をはじめチェック、現場での品質管理や工程管理など、施工に関する全般を担当しました。業者から出てくる施工図のチェックでは、細かいところの納まりがどうなっているか、サッシや内装、壁の材がどうなっているかなど、細部にわたる確認が必要です。各工種間の連絡や調整も行っていました。
担当職員として、吉村副部長の補佐をしていました。主に現場へ出て墨出し、施工状況および出来形の写真撮影、納入品の検査などを行いました。
私も担当職員として、吉田さんと同じ立場で実際に現場へ出て墨出しや写真管理、安全管理を行いました。
現場ではチームで仕事をしていくので、仕事量を考慮することと、お互いにカバーし合うために社員同士のコミュニケーションが非常に大事になります。
若い2人には、経験を積んでもらう意味でも「職人さんとの会話は大事! 職員同士でもとにかくコミュニケーションを大切に」と伝えました。
両角さんとは同じ仕事をしていたのですが、分担は明確に決まっていたわけではないので、自分たちで話し合ってその都度どちらが何をやるか決めていました。ロングスパンで吉村副部長に指示されることもありましたが、日々2人で相談しながら効率よく作業を進めるようにしていました。

大切な“こだわり”のために
一つずつ丁寧に積み重ねる

クライアントがどんな意向だったのか教えてください
お施主さんは、歯医者さんということで、親子で楽しく通えるような親しみやすい建物を目指しておられました。そのためには来院する方はもちろん、そこで働く人たちも生き生きと働ける建物にしたいというのが、お施主さんの建物に対するコンセプトでした。設計に関しては設計事務所と弊社の設計部の範囲になってしまうのですが、柱や壁などの色決めや使う材料の選定は我々も提案させていただきました。私たちもお施主さんの希望を実現してより良い建物を作りたいとスタッフ全員が思っていました。
現場にお施主さんがいらした時にいろいろ確認させていただきましたが、来院する方々への配慮が伝わってきました。
外構周りでも、駐車場のラインの位置など来院される方たちが車を停めやすいように考慮されていました。
木を多用して来院する方に木の温もりを感じてもらいたい、優しさを感じられるような淡い色合いの木目にしてほしいという要望がありました。使う材料や出来栄えを考えた複雑なデザインは、弊社から提案したものが採用されています。こちらの提案をしっかり聞いてくださるお施主さんでしたので、設計段階からさまざまな提案をしました。歯科医院に通う子どもたちが楽しめるように、壁にボルダリングのホールドを設置したり、みのむしハンギングチェアなどの遊具を付けることは、お施主さんからの要望です。
建物が徐々に完成してくると、設計士がいかにシャープな建物に設計していたかがわかるようになってきましたね。
外観を見ただけでもわくわくするようなデザインを最初から考えていたと聞いています。待合室は、待つ人たちの目線が外から見えないように下の部分をガラス張りにすることで下からも光を取り入れ、2階の吹き抜け部分からも採光できるように設計してあります。広さは1,100平米あるので、通常の歯科診療所としてはかなり大きな建物でした。
クライアントの希望に応えるために心がけていたことは?
設計図通りにするために、細部に至るまで図面を把握し、整合性があるかなど検討は常にしていました。手すりの位置、材、鉄骨の階段はどうなっているか、壁と天井の取り合いをどうしたらいいのかなど、確認し合って進めました。
実際に使用する材料の特性を考えたり、図面では表現されていない箇所の納めをどうするかなど、スタッフ同士で協議して、検討することもたくさんありました。お施主さんは他の診療所での診察経験があることから、自分たちの医院ではこうしたいという思いがありました。お施主さんの意向を聞きながら材料と色を決めて、造り付けの家具にしました。どういう家具であれば使いやすいのかを何度も検討しました。機械はサイズが決まっていましたから、機械メーカーとのすり合わせや電気設備との寸法決めなども綿密に打ち合わせをしました。
かなり広い現場で一人で見切るのは難しかったので、内装と外装を分けて吉田さんと分担して見ていました。僕は、家具の位置、壁の仕上げなど内装をチェックしました。多くの業者さんが現場に入るわけですが、職人さんとたくさん会話をしてコミュニケーションを図るようにしました。図面通りに進めるにもやはり会話は大事だなと思っています。
僕も同じ思いでした。自分は外装と屋根を担当しました。内装の業者さんは知っている方でしたが、外装と屋根の業者さんは初めてだったので、コミュニケーションをとることを大事にしていました。後からいろいろお願いすることもスムーズにいきました。一つひとつがお施主さんの思いにつながっていると思い、仕事に打ち込みました。

ピンチを乗り越えられたのは
一人ひとりの使命感!

仕事を進める上で大変だったことは何ですか?
一番大変だったのは、準備期間がなかったことですね。現場がスタートしながら図面のチェックと把握を同時進行していったことです。
プロジェクトの命題は、工期に間に合わせること。そこに向けてがんばっていましたが、私たちが一生懸命やっても管理できないことがあります。それは天候です。工事序盤の基礎工事の最中に大雪が降ったことがあり、現場内の雪を集めてクレーンで搬出する作業は今思い出しても大変でした。さらに外溝工事の終盤に雨が降ってしまって、その工程管理に必死でしたね。降雨の遅れを間に合わせなければいけないという責任感でいっぱいでした。業者さんの協力があってこそなので、みなさんには感謝しています。無事に竣工させるという使命感とチームワークで乗り切りました。
この建物は鉄骨造で、柱がたくさんありました。その柱の位置をアンカーフレームで基礎から付けているんですが、その位置がずれてしまうと鉄骨造が合わなくなってしまうので、数ミリ単位で合わせるのが本当に大変でした。図面の位置通りに合わせなくてはいけないので、両角さんと2人で協力してスケールで合わせて何ミリ、動かしてくださいと業者さんにお願いして実際に動かしてもらいました。
私はここが2番目の物件だったので、仕事をする上で気をつけていたのは、吉村副部長をはじめ業者さんにもわからないことを聞くことを大切にしていました。人に聞いて、何が正解なのかをしっかり判断できるようにしていく、日々勉強でしたね。
入社当時は鉄筋コンクリートのマンションやホテルなども10年ほどやってきましたが、個人医院としては、この大きさの物件に携わるのは私は初めてでした。工期が厳しく、心がくじけそうになりましたが、責任者として自分一人で悩むより、チームみんなで共有してやっていけばできることも多いと感じました。私はどちらかというと心配性で、リスクは極限まで排除したいという思考で動き、なかなか違う方法でチャレンジすることはしないタイプ。吉沢工事長は大きな物件を担当してきた経験が豊富で、性格はおおらか。やるしかないじゃんという思考で、ずいぶん助けられました。
そうですね、やるしかないじゃん!という感じです。大型病院の建設や改修など大きな現場に携わってきた経験からも、できると思ってはいましたが大変な現場だということは覚悟をしていました。実際に雨の日にはコンクリートは打てない、それはどうしようもないので、残りの工期を調整しました。私が仕事をする上で大切にしているのは、ネガティブにならないということです。1人でやるのとは違う、4人のチームメンバーがいるのだし、協力しあって、前に進むしかないという感じでした。
やりがいをどんな時に感じていましたか?
お施主さんの希望通りの建物をつくることに尽きます。プロジェクトが大きいほど、お施主さんの人生にも直結する仕事だと思っています。工程一つひとつにしても、強い責任感を持って臨んでいました。
建物ができあがっていくというのがすべて! お施主さんに喜んでいただきたいという一心だけでがんばれます。今回もお施主さんに喜んでいただけたので、すべての苦労が報われました。やりがいはと聞かれたら、やはりお施主さんの笑顔ですね。
私にとっては、国道からすぐ見える場所に、更地だったところから始めて、建物を一から造っていくということがやりがいでした。1人でできないことも2人だとできるということが本当にたくさんあったので、両角さんと一緒にできて良かったですね。もちろん、上には吉沢工事長や吉村副部長がいてくれたから安心して仕事に打ち込めました。
実際にこれだけの大きな物件をやり切ったという達成感はすごくあります。それにとても勉強になりました。成長できたかなと思います。とりあえず、わからないことは聞くこと、あと報告することを意識していました。これが正解なのかどうか、業者さんや上司に聞きながら、吉田さんとも共有しながら答えを出して行きました。
まずは無事に竣工、お引き渡し、オープンとなり、安堵感と満足感を得ることができました。同じ会社の職員、協力会社の方々に支えられてのことです。地域の歯科医療の柱になっていく事業に携われたことはありがたかったです。
国道を通った時に見えるので、家族に自慢ができる仕事ができました。
これからの目標はありますか?
1人でやるのと4人でチームを組んでやる仕事は違います。これからもチーム力を大切にして、大きな仕事に取り組んでいきたいですね。
今回の経験を活かして、少しずつ大きい現場もできるようになれたらいいなと思っています。
今回2件目の物件で経験不足からの不安がありましたが、できていくにつれ達成感が増していきました。いろいろな経験をして、知識や技術を蓄えて、いずれは自分が責任を持つ仕事ができるようになりたいです。
各々が自分のすべき仕事に自分なりの答えを出して行動することがチームには求められると思っています。これからも今回の物件での経験をふまえ、施工チームを組んで、たくさんの人間で大きな建造物をつくることができればと思っています。
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